Football Diary...

Football Diary...

運とノリで高校サッカー優勝を経験した私が淡々と粛々と綴るFootball日記。

(2)_勝つこと最優先の弊害

高校サッカーの季節です。

今日は、私の大親友の母校である大阪桐蔭高校の試合を、

駒沢公園まで行き観戦してきました。

 

そのゲームについてです。

 

第96回全国高校サッカー選手権大会の三回戦。

 

大阪桐蔭高校 vs 明秀日立

 

高校サッカーを体験してきた身ではありますが、

大学サッカーを体験し、日頃からプロのサッカーを見ているので、

高校サッカーを見ると、

やっぱりまだまだ高校生って出来上がってないな。

マチュアだなというのを感じます。

 

高校生のレベルと、その上のカテゴリーのレベルってどうしてレベルが異なって見えてしまうのかを踏まえ、ゲームのレビューを書いていきます。

 

1).ゲーム時間

2).筋肉の回復スピード

3).負けたら引退

 

この3点が重要なのかなと個人的には思ってます。

 

Footballでは80分を過ぎたあたりからの得点が圧倒的に多いです。

その80分を境にした時、高校生はその時間でゲームが終わりますが、他方はそこからがゲームが面白くなるところ。

そのため、高校サッカーでは、より早く得点を奪う必要があるため、前線からのプレッシングでマイボールにする確率を増やすことが重要であると考えられます。

 

現に私たちの時も、とにかく前線からプレスをかけミスを誘発し、ショートカウンターを駆使することでゲームを優位に進めていました。

 

また、高校生は、体力の回復が早いため、80分をフルでプレスし続けるゲームを行っても、次の日にもまた同じようなゲーム内容で試合ができます。

 

しかし、これが上のカテゴリーになってくると、

同様なプレスのみのサッカーをコンスタントにし続けるのはかなりハードです。

 

チーム内での年齢差が生み出す体力的な差は、オーガナイズしてプレスをかけることに躊躇いを生み出します。

そのため、90分のゲームにおいては行く部分、行かない部分をはっきりしつつ、

チーム全体で頭を使ってプレーをすることが余儀無くされます。

 

約10日間で最大6試合ものゲームをこなすことが出来るのは、プロでは不可能と言っても過言ではないですね。

それが高校生にはできてしまうので、上記のような勢いによるプレスサッカーでも勝つことができるのだろう。

また、そういうサッカーをしようと考えるのは妥当だと思います。

 

3番目の負けたら即引退。

というのも選手権ならではです。

この部分はトーナメント方式あるあるなのですが、やはりそうなると安全なプレーを選択してしまいます。

 

奪ったボールをつながずに大きくクリア、スローインのボールをクリア、セットプレーは放り込む。

これらは、考えてプレーするというよりかは、負けないための手段のプレーになります。

負けないことを意識した上では、当然ありですが、「育成年代」と考え、こういうプレーを推奨してしまうと、上のカテゴリーでは苦労をします。

 

こういった判断を伴わないプレーは、延長なしの即PK方式、負けたら引退など不可避的要素が備わっている試合のため生まれてしまっているのではないかなと僕は思います。

 

しかし、決してこのようなプレーを批判している訳ではなりません。

要は、そこに判断が伴っているのかということ。

 

そのプレー以外の選択肢を持っている状態で、それでも蹴ることを「選択」しているのであれば問題ないのかと思いますが、正直今日のブルーのチームではどちらかと言えば選択をしたプレーではなかったのかなという印象です。

 

さて前置きが長くなりましたが、

上記の3つのような部分があるため、高校サッカーと他のカテゴリーのサッカーでは、レベルが違うなと思いました。

 

でもそんな前提があるにも関わらず、

頭を使うサッカーでそのチームに対して関与していない第三者でも観ていて楽しくさせてくれるチームの一つが大阪桐蔭です。

 

大阪桐蔭の育成はかなり素晴らしいし、実際に上のカテゴリーでプレーする多くの選手が自分で考えてプレーをしています。

私は大学時代、大阪桐蔭出身が多くいるチームにいたので、彼らがいかに高校時代に考えてサッカーをしてきたのかを知っています。

 

判断を伴う、技術に長けたプレーを多くできます。

創部11年程度のチームですが、毎年プロを輩出し、

フロンターレの阿部選手は、創部1年目の選手ですからね。

 

それに対し、明秀日立はカラダの大きな選手が多く、球際をハードに戦うチームでした。

フォーメーションも珍しく5-2-1-2というような形で、

奪ったボールを2トップに蹴り込み納めて中央から攻撃するといったパターン。

 

なのでそもそもサイドに起点を起きづらい。

 

ショートカウンター、ロングカウンターを駆使し、セットプレーで得点を奪うといったチームです。

個では10番の子がフィジカル、足元の技術、視野の広さが秀でており、将来を感じる選手でした。

 

5バックの問題点は、相手のSBにプレスがしづらいという部分。

特に日立は中盤を三角形にしているため、誰がSBに行くのかを確定していません。

ある程度のゾーンで分担しているみたいですが、それでもプレスは遅いので、はめにくい。

桐蔭は逆に言えばここの部分で数的優位を作ることでゲーム運びができるかなと。

 

こういう相手の場合は、サイドで起点を作り、

中の選手がタイミングよくボールを受けることが大事です。

実際サイド起点のクロスから桐蔭は先制します。

 

案外これで、桐蔭はもっとリラックスしてスペースを見つけてボール回せるのかと思ってました。

特に日立のボランチの10番、6番は守備範囲が前半から圧倒的に多いため後半スタミナが落ちると踏んでましたから。

しかし、追加点を奪うチャンスもあまり作れず、カウンターからセットプレーを得た日立はそこから同点弾を打ち込みました。

 

桐蔭の右サイドバックの子は何度か、相手の逆をついてボールを運べていてノッていたんですが、それが仇となり、失点に繋がるボールロストをしてしまいました。

 

日立は、ボランチ2枚が80分上下左右に動き続けられていた点、

5バック(特に真ん中3枚)の連動と球際の戦いが粘り強く行えていたのが2失点目を防げた理由かなと。

 

こうして結果的には、PK戦で明秀日立が勝利しました。

 

総じて、

高校サッカーは、独特の会場の雰囲気があります。

得点チャンスになった際の歓声や、得点後チームに勢いをもたらす声援、

第三者が負けている側を応援し始める感じ、などなど

プロとはまた異なる雰囲気があり、それに飲まれ浮き足立つとプレーができません。

途中から入る選手なんて尚難しいです。

 

そういった部分も踏まえ80分の中にドラマが多くあるのが、

高校サッカーという一つのジャンルの楽しみ方です。

 

この体験は、この時にしか味わえませんから、

これはこれで人生の糧になるかなと。

それでも、もっと上のレベルでプレーをするなら考えてプレーし続けることが育成年代では大事ですね。

勝って兜の緒を締めるではありませんが、

勝つことばかりにフォーカスしてしまうとプレーヤーとしての伸び代を消してしまう可能性があるので注意が必要です。

 

私は一体誰目線で話しているのか不気味ですが、今日はこの辺で。

 

では。